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雪月花のお料理6年間の提供ありがとうございました。

イベント 2022-10-04
 上越市 直江津駅前のホテルセンチュリーイカヤは、「イカヤ旅館」として明治5年に創業し、明治19年直江津―関山間の鉄道開業後は、鉄道の歴史と共に歩まれてきました。明治の文明開化華やかし時代、街を行きかう人たちの装いも日に日に移り変わるご時世に、当時としては斬新な洋館の建物は、時代の象徴でもあり直江津のシンボルでもありました。

 2015年,えちごトキめき鉄道が開業し、翌年に運行を開始するえちごトキめきリゾート雪月花で提供する3段重の料理の依頼がありました。当時イカヤ内部では懸念を示す声もあったが、当時病床にあった先代の社長 故荻野順次郎が一言「引き受けようと」決断されたそうです。
ホテルセンチュリーイカヤに改名(昭和62年)

  蒸気機関車の時代から直江津駅と共に歩んできた歴史を踏まえ、130年以上の時を経て再び鉄道と共に歩もうという大きな決断でした.
  「父は『100年以上鉄道と主に歩み続け、初期には駅弁なども販売していた歴史と絆を、今一度ここで思い起こそう』という気持ちがあったのでは。そして永年ともに仕事をした「石塚総料理長ならばできる!という信頼関係もあったと思います。」と専務取締役の荻野康次郎氏は語ります。
その重責は総料理長の石塚 強氏にゆだねられました。
当時の石塚 強氏


 重責を担った石塚 強総料理長は先代の順次郎社長に見いだされ、料理人生44年の大半をイカヤと共に過ごしました。雪月花の3段重料理では、新潟県内産食材をお客様に召し上がっていただきたい!など様々なオーダーがあり、監修は東京六本木のミシュラン2つ星リューズの飯塚シェフ。ハードルの高いオーダーもあったようです。石塚氏は初めてのことに戸惑うも、「やらなければならない」という覚悟の元走り始めました。
運行開始当時のお料理(三段重)

 毎週土日に提供する三段重は仕込みに何日もかかるメニューが多数。土日の定期運行に加え、貸切りのチャーター便が平日に入ります。石塚氏の頭の中は1日24時間、常に雪月花のお料理が巡っていたとおっしゃいます。

 最も苦労したのは、新潟県内産にこだわった食材を端境期にどうするかということでした。
自然相手の食材は、年により出来具合が異なります。
調理のタイミングも大きな課題でした。タイミングと段取りを間違えると、美味しいものも美味しくなくなってしまう。
 「季節とタイミングを常に考えながら走り続けた六年間でした。」と石塚料理長は振り返ります。雪月花のお料理、宴会、宿泊者のお食事、イカヤの歴史を背負いながらの日々が続きました。
監修 飯塚隆太氏

 一番うれしかったのは「監修の飯塚シェフから『美味しいものができましたね!』と褒められた時です。本当に嬉しかったです。」 寡黙な石塚氏は、じっと自らの手を見つめ、感慨深げに振り返ります。

搬入の様子


搬入の様子2

 最後に6年間を終えての感想に「従業員一人一人が団結し、安全に無事終わってほっとしており、満足しています。私だけでなく、スタッフみんなががんばりました。」と話します。
重責を終えての石塚氏

 直江津を代表する老舗は、地域の変遷を見続けて今年、創業150年の節目を迎えました。
 雪月花はバトンをつなぎ、新たな節目の年を歩み続けていきます。